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なぜ魚に手を加えるのか。

グロという魚は、どこか「触れてはならない存在」のように扱われてきた気がする。
産地、脂のり、ブランド。
評価はすべて、“自然に”そうだったものの勝ち。
人間が手を加える余地などない、と言わんばかりに。

でも、本当にそれでいいのか。

船の上で命を削りながら、数カ月も海に出る漁師たちがいる。
港に着いても「ブランドじゃないから」と値をつけてもらえない魚がある。
それでも彼らは、誰かの食卓のために海に出る。
私はその事実を、築地で1万尾以上のマグロを見てきた中で知った。

そして、どうしても思ってしまった。

「それを“そのまま”で終わらせていいのか?」

 

マグロは、加工されると価値が落ちると言われる。
けれど私は、逆のことを考えている。
「加工=敬意」ではないか。
命に対して、料理という手間で応える行為ではないか。

だから私は手を加える。
冷凍で酸化しないように、温度と時間を見極めて火を入れる。

旨味が逃げないように、余計なものを使わず、漬け込む。
仕上がったとき、それは「商品」ではなく、「ひとつの答え」になっている。

 

私は職人ではない。
漁師でもない。
でも、彼らの想いを「伝える役」にはなれると思っている。

そのために始めたのが、「一番星」という名前の店だ。
夜の海に一番最初に現れる星。
誰よりも早く光を灯す存在。

見過ごされていた魚に、
届かなかった想いに、
一番に光をあてられる存在でありたいと思った。

 

そして、Craftシリーズ。
これは、マグロの再発明であり、文化の翻訳でもある。

冷凍なのに、旨い。
無名なのに心を打つ。
調味がされているのに、素材の輪郭が見える。

そのひと切れに込めたのは、「新しい評価軸」である。

 

加工してなお、素材以上に語れる魚。
それを日本の、そして世界の食卓に届けたい。

一番星とは、そういう場所であり、そういう思想です。

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